CO2排出量取引ばかりが解決策じゃない!滋賀県安土町「よし博2009」レポート

琵琶湖発・地域レベルで出来るカーボンオフセット
二酸化炭素を効率的に吸収する上、水の浄化能力にも優れる植物ヨシ。このヨシに親しみながら、環境に良いことをしていく社会実験イベント「よし博2009」が、2月14、15日、滋賀県安土町で開催されました(主催「よし博2009実行委員会」)。ヨシ刈りボランティアに県内外から約700人が参加し、4000平方メートルを刈った他、このボランティアなど環境に良いことをしたことでもらえるエコポイント「よし」も使われ、参加者達は、ヨシを使った様々な食べ物や地元の魚、野菜などを購入していました。会場やその近くでは、ヨシ笛による「春よ来い」「春の小川」などの民謡の演奏や、水郷案内人・奥田修三さん達の和舟による西の湖のクルーズ、同湖に集まる水鳥を望遠鏡で観察会が行われるなど、来場した人々はラムサール条約登録湿地となった西の湖の魅力を満喫していました。
「よし博2009」は、地元で琵琶湖やヨシ原を守るべく活動してきた市民、エコをキーワードに地域を元気にしていきたい行政、社会責任として脱炭素社会への道を模索する企業など、異なる立場の人々が手を取り合って実現したイベント。彼らをつなげたのがヨシのユニークな特性でした。急激に成長するヨシは、二酸化炭素を効率的に吸収することができます。地元でヨシの観察を続ける奥田修三さんによれば、月に8センチも伸びた記録もあるとか。しかも、枯れたヨシを刈り取ることにより、新芽が育つなど、一年草であるため、同じ場所で毎年、炭素固定を繰り返すことができるのです。さらに刈り取ったヨシは、肥料や食料、燃料など様々な用途に使うことができます。今回のイベントでは、ヨシの葉の粉末によるジェラートや団子、お茶など、いろいろなヨシ食品が売られていた他、ヨシを原料とするパルプによる文房具、ヨシ笛のコンサートなど、現代風にアレンジされたヨシの使い方を来場者の人々が五感で実感知ることができました。それは、建築基準法の改定で一般住宅への茅葺き屋根の使用が難しくなった上、安価な中国産に押されていた地元のヨシ農家から、切に望まれてきたことでもありました。古事記での日本の名が「豊芦原瑞穂の国」とされるように、日本の河原に多く生息する植物であり、琵琶湖周辺だけでなく、全国各地で取り組めることも、ヨシの秘める可能性でしょう。
今回のイベントの大きな特徴が、エコポイント「よし」の活用です。ヨシ刈りボランティア等、「環境に良いこと」をすることで貰え、1よしは100円に相当し、「よし博2009」の期間中に会場や参加店での買い物、各種イベントに使うことができます。筆者も、安土町まで車ではなく公共交通を使ったので、「よし」をもらえ、さらに安土駅から会場まで歩いて行ったので、また「よし」をもらえました。そこで早速、この「よし」を使って、会場でお買い物。ヨシを使った緑うどんを食べました。また、来場者だけでなく、「よし博2009」に参加する、土産物店、八百屋、飲食店、レンタルサイクル店、観光和船などにも、皆が「よし」を使おうと買い物をするので、売り上げは倍増するなどの利益があったとか。エコポイント「よし」は、環境に良いことをすることでの、メリットを具体的に体感でき、かつ地域に利益を循環させるシステムなのです。カーボンオフセットというと、排出量取引や遠くの国々での植林など、あまりに複雑で、トレーサビリティにも欠けがちなものが、マスメディアの「主流」とされています。しかし、「よし博2009」はシンプルで誰もが参加しやすく、地域レベルで実践できるという、カーボンオフセットの新たな可能性を示したのかもしれません。





















