外国との排出量取引、東欧数カ国と基本合意へ=NEDO2008年 12月 3日 (ロイター)

写真は川崎の工業地帯。先月撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

  • 写真は川崎の工業地帯。先月撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

    写真は川崎の工業地帯。先月撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 3日 ロイター] 京都議定書に基づく排出量取引について、日本が現在交渉中のロシアやポーランドなど約10カ国のうち複数の国と近く、初めて基本合意する見通しが明らかになった。早ければ今年度中に最終合意する。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の清水康弘参事が2日、ロイターの取材に答えた。また、難航しているハンガリーとの交渉に関しては、価格面で折り合いがつかないことから、日本側は交渉を中断したい意向だ。今後に関しては、排出量取引だけでなく他の京都メカニズムも活用し、温暖化ガス排出削減の目標を達成していきたいという。 

 京都議定書では、日本の温暖化ガスの排出削減目標は1990年比で6%。ただ、排出量は増大する傾向にあり、国内の努力だけでは達成が困難とされる。このため、日本の削減分として算入できる排出権獲得に向け、他国に排出権として売却できる余剰が生じている東欧諸国との間で交渉を進めてきた。日本は2008年から2012年までの5年間で排出権を計1億トン取得する方針。これまでは、途上国で温暖化ガス排出を減らすプロジェクトに投資し、見返りに排出権を得る「クリーン開発メカニズム」(CDM)の活用が多かった。

 日本が東欧の数カ国と基本合意する見通しの「排出量取引」は、具体的な環境対策と関連付けられた排出量取引の仕組みである「グリーン投資スキーム」(GIS)。このメカニズムによる排出権取引が成立した例は、ハンガリーがスペインとベルギーに売却した2件のみ。ハンガリーは11月13日、排出権600万トンをスペインに売却したと発表した。ハンガリー当局は、これまでの排出権売却の中では最大の規模としている。東欧諸国は旧ソ連邦を中心に排出余剰枠を抱えている。日本の交渉相手国はロシア、ラトビア、ウクライナ、チェコ、ポーランド、ベラルーシなど約10カ国。日本としては数週間以内に基本合意したい意向。

 2007年12月に開始したハンガリーとの交渉に関しては、京都議定書が課す温暖化ガスの削減目標を達成するため、日本がハンガリーから直接排出権を取得することで合意していた。ハンガリーは2008年に排出権を1000万トン売却する計画で、取得量や金額について交渉を進めていた。清水参事は「ハンガリーが(価格面で)考え方を変えないと、交渉は難しい」と述べ、交渉中断も視野に入れている。

 排出量取引は政府レベルの個別交渉のため、通常は価格や数量が明らかにされないという。清水参事はハンガリーとの交渉について「価格は明かせない」と述べている。ただ、排出権を売却する国に課せられる環境対策が適切なものになるかどうか不透明であることなどから、CDMでの取引価格よりも低く抑えられるべきというのが日本側の考えだ。CDMをベースにしたクレジット価格は、欧州連合(EU)域内のセカンダリー市場で1トン当たり13―14ユーロで取引されている。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者、前田 りさ記者)

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